甲状腺眼症

甲状腺眼症とは

甲状腺眼症とは、主にバセドウ病に合併する眼の合併症です。バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰につくられる甲状腺機能亢進症の一種で、主に自己免疫異常によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌、それによって新陳代謝が盛んになり、びまん性甲状腺腫、頻脈といった症状が現れるほか、眼症状として、まぶたの腫れ、眼球突出、眼球運動障害などが現れるようになります。
甲状腺眼症の原因は完全に解明されてはおりませんが、甲状腺に対して生じている免疫異常が眼の奥の組織に対しても影響を与えるため生じているものと考えられています。眼の奥の組織は、眼を動かす外眼筋という筋肉とその周りを取り囲む脂肪、そして目で見た情報を脳に伝える視神経から成ります。これらは頭蓋骨に囲まれているので前方を除き、周囲を固い骨の壁に囲まれている状態になっています。この眼の納まっている部位を「眼窩」といいます。甲状腺眼症では、外眼筋や脂肪にリンパ球という炎症に関連する細胞が集まり、「炎症」を起こし、その結果、外眼筋の腫大・線維化や脂肪の増生を生じることで様々な症状が出現してくるのです。

主な症状

  • 瞼が腫れる
  • 瞼がつり上がる
  • 眼が充血する
  • 眼に自発的な痛みや眼球を動かした際の痛みがある
  • 眼が突出する
  • 物が二重に見える
  • 視力が落ちる など

 甲状腺眼症の診断

診断については、瞼の腫れ、眼球突出の進行、眼の充血などいくつかの項目で評価するclinical activity scoreという甲状腺眼症の炎症の程度を評価するスコアや「眼窩MRI」を中心に診断を進めています。また、大脳白質と外眼筋の比較で算出されるSIRという値も評価に用いられています。眼窩MRIという検査は、検査の性質上、閉所での検査となり、時間も数十分かかりますが、眼窩CTなどで代用することもあります。

甲状腺眼症の治療

甲状腺眼症の治療については、甲状腺機能のコントールの他、喫煙は眼症の進行に影響すると言われていますので禁煙をお勧めします。
甲状腺眼症の治療の大原則として、診断された時点で炎症が生じているか、炎症が生じていない状態かということが重要になります。炎症が生じていても数年の経過により落ち着くと考えられていますが、「線維化」という病態が炎症に関連して生じてくるため治療が必要になってきます。炎症の放置期間が長い程「線維化」がひどくなる可能性があります。

また、眼球突出や瞼裂開大(目が見開いたようになり白目が見えている状態)などでは、眼球の表面が乾燥し、ドライアイの症状が出ます。点眼、軟膏などで改善することも多いです。バセドー病によって涙腺に炎症を起こし、ドライアイになることもあります。
炎症がひどい場合はステロイド点眼、注射、点滴治療などがあります。

当クリニックでは、甲状腺眼症に対する手術は行っていませんが、手術が必要であると考えられた場合は、連携医療機関をご紹介させていただきます。

あづみ眼科クリニック

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院長 / 安積 祐実

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